ジャッカルの日

漫画・ゲーム・映画・怪奇についてバカが感想と考察を書く

【特集】今年読んだニンジャスレイヤー2017

 1月6日まで2017エピソードン投票をやっているというので、なんか振り返ってみました。(ニンジャ知らない人置いてきぼりです)今回は4作選べるらしいので、今年のおれのベスト4を。


1.【ザ・グロウ】
 女アサシンニンジャ、レッドハッグの過去を描いたスピンオフ。note掲載エピなうえ、1年近く連載していたので読みとおした人は少ない気もするが、これは「読むべきエピ」です。【ニンジャ・サルベイション】とか、あの辺の涼しい話が好きな人にはたまらんものがあります。結末を読んでない人のために「デモンハンドいいよね」「いい…」くらいしか言えません。
 つーかレッドハッグ、ニンジャになってからのほうがよっぽど楽しそうだな~という印象。35歳の女アサシン(近接)なんて、確かに身の振り方を考える時期だよな。この【ザ・グロウ】のあとに【レッド・ハッグ・ザ・バッド・ラック】だの【ザ・ドランクン・アンド・ストレイト】みたいなエピが来るのだと思うと、ほんとニンジャになって吹っ切れたのだなと。

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2.【ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル】
 ニンジャの仲間たちとの出会い、敵ニンジャ組織の暴虐、両者総出の対決…という話の流れが美しい、お手本のような話。新たな仲間を得たバイオニンジャ集団、サヴァイヴァーズ・ドージョーことサワタリ・カンパニーの活躍が見られて嬉しかった。こいつら好きなんだよね。

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3.【ハイヌーン・ニンジャ・ノーマッド
 サムライニンジャスレイヤーことキルジマ・タカユキを主人公にしたスピンオフ。ニンジャスレイヤーは連載が続くにつれて様々な味方・仲間も加わっていき、それはもちろん頼もしくもあるが、作劇という点では枷になってしまいかねなかった(それが悪いというのではなく、そーなってしまうよねという話)。この時代劇スピンオフ、殺伐と復讐の孤独行という初期作の雰囲気がまんさいで痺れる一編。正午・ニンジャ・流れ者…。

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4.【アイアン・アトラス】

 頭は悪いが友情には篤い、ジャイアニズム溢れるニューヒーロー・アイアンアトラスの登場だ! 続編【アイアン・アトラス・テイクダウン!】もだいたい同じ内容だ! 本当にあたまわるいシリーズでヤンマガ感があります。

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 その他、今年のエピを順不同で個人的に振り返る。

 

■本編シリーズ・シーズン1
【ストーム・イナ・ユノミ】/【ダメージド・グッズ】/【ザイバツ・シャドーギルド】/【カロウシ・ノー・リモース】/【ソウカイ・シンジケート】/【ウィア・スラッツ、チープ・プロダクツ、イン・サム・ニンジャズ・ノートブック】/【オラクル・オブ・マッポーカリプス】

 ニンジャスレイヤーとピザタキの仲間たちが繰り広げるメインストーリー。シーズン1が今年で完結し、すでにシーズン2も始まっている。毎回見せ場はあるし実際面白いのだが、続き物の側面が強く、どれかをピックアップするとなるとたいへん悩んでしまうため、今回の4選には入らなかった。とはいえトンチキバトルの極み【カロウシ・ノー・リモース】、ソウカイヤとザイバツの死闘というありそうで今までほとんど描かれなかったシチュエーションが燃える【ソウカイ・シンジケート】、洒落者で酒飲み、詩人にて風来坊、力は弱いが弁は立つ新たな仲間・コルヴェットが登場する【ザイバツ・シャドーギルド】などはかなり好きです。

 

■【エリミネイト・アナイアレイター】

 第3部で活躍したニンジャ愚連隊「サークル・シマナガシ」のメンバーたちのその後を描く。見どころありすぎな1編ですが、やっぱ心に残るのはかつては反骨心あふれる若きニンジャだったスーサイドの姿。成長し、舎弟もでき、それなりのポジションを得た彼は、もはやヤンチャのできる立場ではなくなっていた…という悲哀。久しぶりに出会ったかつての仲間たちも、立場こそ違えどもその芯は変わらない“相変わらず”な姿を見せてくれるところが嬉しくも物悲しい。


■【ピルグリム・ダークウォーター】
【リンボの章】/【ミエザルの章】/【殺生石の章】/【シノリ・ユウモインの章】
 高潔なボンズにてニンジャのアコライトが、「死にたがりニンジャ」「下劣透明ニンジャ」「超下劣ドブ煮込みニンジャ」と共に旅立つニンジャ西遊記。癖があり過ぎる仲間たちに殺伐の極みたる大地、アコライトの苦悩の巡礼は続く。章ごとに完結してはいるがこのシリーズ自体はまだまだ続きそうで、いまだ着地点が見えない。

 

■デッドリーヴィジョンズ
【バトル・ウィズアウト・オナー・アンド・スシ】/【サムズ・オブ・デス】/【ブラック・ストライプス】/【アイス・クラッシュ】

 「ニンジャとニンジャのバトル」にのみ注視したnote連載シリーズ。個性的な敵とそのジツにニンジャスレイヤーはどう立ち向かうのか? という、バトル漫画のトーナメント戦ばりにムダを極力省いた短編集。こういうのは永久に読んでいられますね…。
 1編取り上げるなら【ブラック・ストライプス】。夏の砂浜でニンジャスレイヤーと対峙するは、黒い縦縞の入った緑色装束のニンジャ、その名は…ブラックストライプス!(まんまだ) 特殊ドトン・ジツと催涙ガスで姿をくらますブラックストライプスに対し、ニンジャスレイヤーは「心の眼(ナラク・ニンジャのアドバイス)」と手にした「棒」で立ち向かう! 夏のレジャーも忍殺にかかればこうなってしまうというトンチキ掌編。

 

■【ドラゴン・ドージョー・リライズ】
■【アット・ザ・マウンテン・オブ・ブッダネス】
■【ビフォア・ザ・ストーム・ゴーズ・アウェイ】
■【スロー・ア・シュリンプ・トゥ・キャッチ・ア・シーブリーム】
■【サヴァイヴァーズ・デスパレート・エクスペディション】
 いずれもnote掲載作。「第3部までで活躍したあの人たちは今?」というかつてからの読者なら間違いなく盛り上がる話なんですが、こーゆーのをtwitter連載でワオワオ盛り上がれればいいかなという気もしないでもないです。
 文字通り、ドラゴン・ドージョー再起のためにユカノががんばる【ドラゴン・ドージョー・リライズ】はニンジャバトルがない珍しい回。「経営」「経済」という新たな戦いに挑むのだ。


■【ヴェックス・オン・ザ・ビーチ
 デッドリーヴィジョンズめいた短編の1つだが、主人公が【ソウカイ・シンジケート】で初登場したヤクザニンジャ、ホローポイントという点が独特。彼は自分が殺した赤肌ツノ付きの悪魔ッ娘ニンジャ、ディアボリカの幻影に終始悩まされているのだ。ヤクザとアクマと真夏のビーチ、この雰囲気だけで“勝ち”の一編。


■【サーチ・アンド・デストロイ】
■【ストライダー・ジ・オリジン】
 強くてかしこいニンジャドッグ、ストライダーが主役の短編。ストライダーはニンジャスレイヤーの協力者の1人(匹)で、連載で初登場した回がとんでもなくツッコミどころの多い怪作だったが、スピンオフエピソードはなかなかにハード犬ボイルドで良い。ほぼ高橋よしひろ作品です。


■【テラー・フロム・ディープ・シー】
 タコのニンジャが豊満に絡みついて大変なことになるとかいうB級映画のアトモスフィアが満載のいつものアレですが、しょうもない話を抜群の臨場感と詩的な言い回しで書きつくすこのスタイル、是非見習いたいものです。


 結論としては「ニンジャスレイヤープラス購読する価値あるよ!」というアレになります。長期連載になりそうな【クルセイド・ワラキア】、これもまたヨイんですよ。吸血鬼の城を巡るモダンホラーの雰囲気濃厚な幕開け、城攻略のために集められたニンジャ傭兵たちの「全滅前提」っぽさ…。今までニンジャ名鑑にしか名前が出てこなかったツインテイルズ=サンの登場もうれしいですね。語尾に「ニャー」を付けるアザトイながらもわかりやすいキャラで、いろんな人がウキヨエ挙げてますが多様性の良さがあります。3部時点でフジキドと交戦してるんだから、今はけっこういいトシ(どんなに若く見積もっても25歳前後)のはずなのにニャーとか言ってるのも良いですね。いじょうです。

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