ジャッカルの日

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『遊戯王デュエルリンクス』でのみ流行したわけのわからないデッキ16選

 最初に言っとくと『遊戯王』を知らない人は置いてけぼりです。

 

 「各キャラが使える特殊なスキル」「初期ライフ4000」「デッキ下限20枚」「独自のしょぼいカードプール」といった要素により、『遊戯王』OCG(オフィシャルカードゲーム)とはまったく異なる環境のアプリゲーム『遊戯王デュエルリンクス』。ここでは「冷静に考えたらこんなんが流行ってたのヤベえよな」という気にならないでもない、懐かしのデッキを適当に紹介していきます。

 ※『デュエルリンクス』のカード規制「リミットレギュレーション」は、 「LIMIT1」に指定されたカードはその中から1枚、「LIMIT2」に指定されたカードはその中から2枚までしかデッキに入れられないというもの。OCGの制限カード・準制限カードとは異なるので注意。

 


【恐竜雷龍】
 『デュエルリンクス』ではいろんな原作キャラを使用できるのだが、初期に人気だったのは《ジュラシックワールド》*1をゲーム開始時から貼ることができるスキル「恐竜王国」を持つダイナソー竜崎だった。当時は攻撃力1700の《アックス・レイダー》がウルトラレア扱いされていたほどで、攻撃力が1900になった《屍を貪る竜》、《二頭を持つキング・レックス》で一方的に相手を倒せる恩恵はかなり大きかった。この2匹で《ブラキオレイドス》を融合召喚できれば圧倒的アドバンテージを得ることができたほど。どうせ融合ギミックを組み込むならと、恐竜族でもなんでもない《サンダー・ドラゴン》と《双頭の雷龍》をついでに採用したデッキも少なくなかった。

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【海ビート】
 『デュエルリンクス』最初の追加パック「エイジ・オブ・ディスカバリー」は、デュエル開始時に自動的にフィールド魔法《海》を貼る梶木漁太のスキル、「海の伝説」と相性のいいカードが多数収録されていた。このため、初期の『デュエルリンクス』は竜崎と梶木がトップクラスの実力者という愉快な状況になっておりました。
 この頃の【海ビート】は《満ち潮のマーマン》をアタッカーに据え、《ヒゲアンコウ》からのアドバンス召喚や《大波小波》で《海竜-ダイダロス》を出し、盤面をリセットして一気に試合を決めるというものだった。ちなみに海デッキ自体は現在でも《伝説の都 アトランティス》や《潜海奇襲》を活用した形でそこそこ使われている。

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【カラテマンワンキル】
 《カラテマン》に《財宝への隠し通路》を使って直接攻撃可能な状態にした後、《閃光の双剣-トライス-》を装備させて2回攻撃を付与。その後、《カラテマン》の効果で攻撃力を2000にアップさせ、直接攻撃×2でライフ4000を削り取る。初期の一時期のみ流行したが、皆のカード資産が増え《エネミーコントローラー》《クリボール》《ツイスター》が行き渡ったころには怖くもなんともなくなってしまった。

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【狩場サクリ】
 孔雀舞のスキル「ハーピィの狩場」は、文字通りデュエル開始時に《ハーピィの狩場》*2を自動的に発動するというもの。比較的自由なタイミングで場の魔法・罠カードを破壊できるようになるため、相手の伏せ除去はもちろん、自分の《サクリファイス》で吸収した相手モンスターを破壊することで毎ターン効果を使えるようになる。あまりに強力過ぎたためか、スキル「ハーピィの狩場」が「デュエル開始時、デッキトップに《ハーピィの狩場》を置く」効果に変更された。また、「ハーピィ」自体のステータスの低さや展開の遅さも響き、徐々に姿を消すことになった。『デュエルリンクス』に実装されていない「ハーピィ」関連のサポートカードはまだまだあるので、何かのきっかけで再注目されるかもしれない。

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【スタンバイバーン】

 お互いのデュエル開始時の手札を1枚増やす真崎杏子のスキル「デュエルスタンバイ」を使用、相手の手札の枚数に応じて効果ダメージを与える《革命》や、その他《ファイアー・ボール》などのバーンカードを使って勝利するデッキ。半々の確率で相手か自分の手札を2枚増やす《カップ・オブ・エース》は、どちらの効果でも有利に働くので相性がよい。先行さえ取れれば圧倒的かつ一方的なデッキだったためか、2017年8月に《革命》がLIMIT1制限されてしまった。ちなみに『デュエルリンクス』で最初に制限されたカードがこの《革命》である。初期ライフ4000の『デュエルリンクス』でこの火力は脅威であった。
 杏子の「デュエルスタンバイ」は【デッキ破壊】にも使われることが多く、こちらも初期デッキ枚数が少ない『デュエルリンクス』では対策していないとあっという間に積みかねない。最近は《カップ・オブ・エース》に加え、相手に3枚強制ドローさせる《悪魔の監視者》がLIMIT2制限をくらったため【デッキ破壊】も弱体化している。

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【竹光バーン】
 《リーフフェアリー》を召喚後、《折れ竹光》《妖刀竹光》《黄金色の竹光》などの効果でドローしまくり、《黒いペンダント》などの装備魔法を《リーフフェアリー》で射出して1ターンキルするという理不尽極まりないデッキ。先手さえ取れればほぼ勝利できるほどの破壊力を持っており、やられた方は相手のソリティアを延々眺めていることしかできなかった。メタのつもりか《森の聖霊エーコ》*3が誰でも比較的ラクに入手できるようになったが焼け石に水、あっという間に《リーフフェアリー》《黄金色の竹光》ともどもLIMIT1に制限され構築不可能になった。

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【粉砕ナチュル】
 ノーマル、レアのみで組める安価なデッキ【ナチュル】が流行したことがあった。《ナチュル・ハイドランジー》自身の効果や《ナチュル・パンプキン》で上級モンスターを手軽に並べられるため、毎ターン「自分フィールドのレベル5以上のモンスターの数×300」分の攻撃力アップができる海馬瀬人のスキル「粉砕!」と非常に相性がよかった。社長が可愛らしいナチュルのお花や虫さんたちを並べて「ワハハハハハハ!」と高笑いする光景がランクマッチでよく見られたものです。

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【アロマヘイズ】
 OCGにもアロマと名の付くデッキはあるが、この場合は《魔封じの芳香》とも【アロマージ】とも関係なく(【アロマージ】デッキ自体は『デュエルリンクス』でもそこそこ強い方)、孔雀舞のスキル「香水戦術-アロマ・タクティクス」のこと。自分のデッキの一番上のカードを常に確認できるため、《陽炎獣 スピンクス》*4との相性は抜群。もともと相手のカードの効果の対象にならない陽炎獣をフィールドに並べ、《ビーストライザー》などで強化して攻守隙の無い盤面を作れる。上級モンスターが中心なので事故率はやや高いが、安価に組めるうえ、現在でもそれなりの強さ。

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【デビフラワンキル】
 ライフポイント5000を支払ってエクストラデッキの融合モンスターを召喚する《デビル・フランケン》。初期ライフ4000のリンクスではまともに使えないカード…ではなく、ライフポイントが1000以下の時、カードを発動するために払うライフポイントが必要なくなる「ライフコスト0」というスキルがある。この効果は次の相手ターン終了時まで続くので、《デビル・フランケン》の効果も2回使用できる。《局地的ハリケーン》で相手のセットカードをバウンスさせ、《青眼の究極竜》《サイバー・エンド・ドラゴン》で総攻撃すれば一気に逆転可能。スキル「ライフコスト0」を使えるのは杏子と梶木、リシド、エスパー絽馬だけなので、この4人が怪しい動きをしていたらライフを1000以下にしないよう立ち回る必要がある。まあ《神の忠告》*5《コズミック・サイクロン》で調整されたらどうにもならんけど…。今現在でも特に規制されていないデッキ。

※追記 2018年10月の仕様変更により、「ライフコスト0」は「次の相手ターン終了時まで、1度だけカードを発動するために払うライフポイントが必要なくなる」効果に調整された。

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【肥大化バーン】
 《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》を相手フィールドに召喚、《肥大化》や《呪魂の仮面》でロックし、《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》の効果ダメージや《アマゾネスの剣士》の自爆特攻で相手ライフを削る。初期ライフ4000の『デュエルリンクス』ではかなり有効な戦術。強制的に相手のデッキに《寄生虫パラサイド》を仕込むインセクター羽蛾のスキル「フライング寄生」も併用すれば、ラヴァ・ゴーレムを警戒してフィールドに2枚以上モンスターを並べない相手への対策になる(ついでにパラサイドの効果ダメージも入る)。後に《肥大化》がLIMIT1に規制され、やや組みにくくなった。

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【三星忍者】
 迷宮兄弟のスキル「三星降格」は「ライフポイントを2000払い、ターン終了時まで手札のモンスターのレベルを3下げる」というものだった。最上級モンスターを即出せるのはもちろん強力で、減ったライフも《至高の木の実》で簡単に回復でき、《二重召喚》があれば最上級2匹をポンポン出せてしまう。あまりに強かったので消費ライフポイントが3000に調整されたが、「忍者」が登場したことで再度注目を浴びる。いったん《黒龍の忍者》《赤龍の忍者》さえ出してしまえば、《忍法 分身の術》《忍法 変化の術》などを駆使して一方的な展開が可能だった。プレイングがやや難しい点*6、《忍法 変化の術》がウルトラレアで入手しにくい点がネックだったが、さらに「三星降格」が「ライフポイントが1000以下の時に使用できる」よう再々調整されてしまった。一時期は世界大会で猛威を振るうほど強力なデッキだったが、現在はめったに見かけない。

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【バランス氷結界】

 後攻で《氷結界の三方陣》を使用して相手モンスターを破壊、《氷結界の虎将グルナード》《氷結界の虎将ガンターラ》を特殊召喚して一気に場を制圧する【氷結界】が一時期流行した。先攻の場合でも自分はモンスターを召喚せずターンを終えればいいだけだし、手札さえ揃っていれば一瞬で勝利できるお手軽デッキ。特にスキル「バランス」や「リスタート」と併用するデッキが多かったようだ。
 スキル「バランス」は、開始時の手札がデッキ内のバランスに応じたものになる効果。例えばデッキのモンスターと魔法の割合が3:1なら、初期手札もモンスター3枚:魔法1枚で始められる(『デュエルリンクス』の初期手札は4枚)。
 もともとデッキ下限が20枚の『デュエルリンクス』で、高確率で狙った手札を初手から揃えられる「バランス」は明らかに壊れ性能。弱体化を重ねた結果、現在では「デッキにモンスター・魔法・罠カードがそれぞれ6枚以上入っていないと適用されない」ようになっている。
 「バランス」と同レベルで汎用性が高いスキルだったのが、初期手札を1度だけ引き直しできる「リスタート」。こちらは「次の番自分は通常ドローができない」という形に調整された。この2つのスキルの弱体化、優秀な除去カードの増加などの理由もあり、現在は【氷結界】自体それほど脅威ではない。

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【サフィラ機械天使】
 2017年9月に「遊戯王GX」キャラが登場して以降、長らくランキング上位を占めていたのが「サイバー・エンジェル」中心の儀式デッキ。いまだシンクロ召喚すらないようなカードプールのデュエルリンクスで、第9期(2016年)登場の機械天使は明らかにオーバースペック。高いステータスを持ち除去も可能な《サイバーエンジェル-荼吉尼》、耐性を付与できる儀式魔法《機械天使の儀式》、手軽なサーチカード《サイバー・プチ・エンジェル》といった強力カードが揃っており、しかもキーカードの多くが天上院明日香のレベルアップ報酬&ドロップ報酬なので、課金せずとも比較的手軽に入手可能。あまりにも強力だったため、2017年11月に《サイバーエンジェル-荼吉尼》《機械天使の儀式》が異例の早さでLIMIT2に規制されたが、《竜姫神サフィラ》《輝神鳥ヴェーヌ》などの儀式モンスターを加えたデッキも流行。依然として高い使用率をキープしていたため、とうとう2018年6月に《サイバー・プチ・エンジェル》もLIMIT2入り。サイバー・エンジェルデッキはまともに組むことすらできなくなってしまった。

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【自滅】

 『デュエルリンクス』で各キャラが使う固有スキルの中には、対戦後のドロップ報酬でのみ入手できるものがある。スキル集めで効率だけを追い求めるなら「対人戦でサレンダー以外*7の手段でさっさと負ける」のがいちばん手っ取り早い(対人戦で負けても、ある程度の報酬と経験値はもらえるため)。この稼ぎプレイに特化したのが自滅デッキで、《デステニー・デストロイ》《サイコロン》《ヒエログリフの石板》など、自分のライフを減らす魔法・罠カードをひたすら使うだけ。相手している方はちっとも面白くないが、無償で勝ちは譲ってもらえているわけで、ある意味Win-Winなため特に問題にはなっていない。少なくとも今のところは。

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【増刷害悪】
 ライフが2000減るごとに、次のドローフェイズで引いたカード1枚を2枚に複製できるペガサスのスキル「増刷」を活用したデッキ。《黄金の天道虫》でライフを維持しつつ、《レインボー・ライフ》《イタクァの暴風》《ドレインシールド》などの罠カードを増刷して相手をロックする。後に「増刷」がデュエル中に1回しか使用できなくなったことで大幅に弱体化した。

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【サイレントワンキル】
 《サイレント・ソードマンLV3》に《財宝への隠し通路》を使って直接攻撃可能な状態にし、《沈黙の剣》で攻撃力をアップ&効果耐性付与、《アサルト・アーマー》で2回攻撃を付与し、ワンキルを狙うデッキ。やってることは上記の「カラテマンワンキル」と変わらないのだが、効果耐性が付くため止めることが非常に難しい。現在は《財宝への隠し通路》《アサルト・アーマー》《沈黙の剣》がLIMIT2に規制されている。

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 以上です。ちなみに今現在(2018年7月)の『デュエルリンクス』では、OCGでは2018年に登場したもののたいして流行らなかった【空牙団】デッキが猛威を振るっています。そりゃ最近出たばっかのカードがリンクスに来たら強いよな。あと筆者は『遊戯王』OCGをプレイしたことがありません(チェーンとか理解できないため)。

www.konami.jp

*1:恐竜族の攻撃力と守備力を300アップする

*2:ハーピィを召喚した時、場の魔法・罠カードを1枚破壊できる

*3:効果ダメージを受けた時に手札から特殊召喚でき、相手に同ダメージを与える。さらにそのターン中、以降は効果ダメージを受けなくなる

*4:デッキの1番上のカードの種類を当てると、手札・墓地から炎属性モンスターを召喚できる

*5:ライフポイント3000を払って相手のモンスター召喚、魔法・罠の発動を無効にする

*6:具体的にどう難しいのか説明するのが面倒くさいレベル

*7:サレンダーすると報酬等はもらえない