ジャッカルの日

世田谷の河童料理専門店「ジャッカル」店主の日記ブログ。

【特集】SCPの有名どころを読み終えた人のためのおすすめ20選

 最近、奥さんが「SCP財団」を読み始めてハマっているらしい。SCP財団というのは、ざっくり言うと世界中の人が考えたこわい話が読めるサイト。知らない人はロースおじさんの解説でも読んでください。

 

blog.goope.jp


 で、殿堂入りのオブジェクトは一通り読んだので、他に面白いものはないかと聞かれたのだが、

・正確なナンバーや記事タイトルを思い出せなかった
・本当に「初心者」向けかどうか迷った
・できるだけバラエティに富んだものを勧めた方がいいんじゃないかというスケベ心

等の理由でパッと挙げることができなかった。痛恨の極みである。というわけで、「前知識は最低限あればいい」「“オススメSCPまとめ”みたいなのであまり名前を見ない」「個人的に好き」等の視点で選んでみたのが、以下に挙げる20作です。おれも全SCPを読んだわけではないのでまだまだ面白くて読みやすいSCPはあるだろうが、ご参考までに。

 

【パッと読める短編2本】

 まずは5分で読めるキレのいい短編を。

 

●SCP-1152「アライグマ」 Safe

http://ja.scp-wiki.net/scp-1152

 人間並みの高い知性を持ったアライグマ。手先の器用さも人間並みで、体重は75kgもある。どうやら鬱の兆候を示しているらしいが…。文章だけでは解説不能な1作。

 

●SCP-1883「いえいえ他に目的なんてありません、あくまでゲームです」 Euclid

http://ja.scp-wiki.net/scp-1883

 様々な指令を出してくる、携帯電話用のゲームアプリ。指令は「太陽に挨拶する」「お墓に供えてあるものを食べる」などわけがわからないものばかりで、危険なものも含まれるが、なぜか実行したくなってしまう強制力を持っている。2017年8月、インドで「青い鯨」というマインドコントロールアプリが登場し自殺者まで出す騒ぎになったが、このオブジェクトを思い出した人も多かったのでは?


【タイトルホイホイな3本】

 リストを眺めていて「なにそのタイトル?」と思って読んでみたら良かった3本。最近は本部も日本支部も、全体的にちょっとタイトルに凝りすぎな感はありますが。


●SCP-2934「マジかよ、ンドレッツ・ゲガ最低だな」 Safe

http://ja.scp-wiki.net/scp-2934

 何かしらの呪術的、科学的な改造が施された白人女性の遺体。周囲の人間に「ンドレッツ・ゲガ」なる中年男性が出てくる夢を見させる能力を持つ。夢の中のンドレッツ・ゲガは、非常に親切で魅力的な人物として描かれるのだが…。読み終えたあとの感想はもちろん「最低だな」!


●SCP-1972「アバズレ&オマワリ」 Euclid

http://ja.scp-wiki.net/scp-1972

 ヘラジカのような頭と多数の触手を持ち、流ちょうなフランス語を話す人型物体・SCPー1972ーA(アバズレ)と、高温のプラズマ光線を放つ金属飛行物体・SCPー1972ーB(オマワリ)。アバズレはその辺で出会った人に性行為を持ちかける習性があるが、誰もその奇妙な見た目に嫌悪感を抱かないらしい。オマワリはアバズレへの敵意を隠しておらず、アバズレを殺すために財団をたびたび脱走し、多数の死者も出ているという。この両者の関係は? ラストの一文が鮮やか。

 

●SCP-3263「魔法の才ある者たちのための私立ヘッジワース学園」 Keter→Safe

http://ja.scp-wiki.net/scp-3263

 他の人間とはちょっと違う能力を持つ少年少女たちの前に、突如現れる「私立ヘッジワース学園」の学園長からの手紙。「魔法の才ある君たちには、ぜひ学園に来てその能力を伸ばしてほしい」との内容で、手紙に同梱されている木製スイッチを押すと、とある城跡にワープする。この城がどうやらヘッジワース学園らしいのだが…。
 この報告書はアーカイブ版と改訂版があり、改訂版でヘッジワース学園の実態と正体が明らかになる構造。


【日本支部の名作4本】

 日本支部の傑作は「評価の高い記事」の上位を見ればだいたい把握できるのだが、個人的に「日本だなあ」と思う好きな4本を。


●SCP-439-JP「ホームラン量産法」 Keter

http://ja.scp-wiki.net/scp-439-jp

 ある手順を踏むことで、必ずホームランが打ててしまうおまじない。これがなぜKeter(それも人類滅亡を引き起こすレベル)に分類されるのか? 星新一や筒井康隆のキレのいいショートショートのような読後感。

 

●SCP-818-JP「えらいねぇ~」 Keter

http://ja.scp-wiki.net/scp-818-jp

 何をやっても「えらいねぇ~」と褒め、甘やかしてくれる老夫婦(Twitterの「生きているだけで褒めてくれるbot」みたいだな)。一見、無害なおじいちゃんおばあちゃんが“人知のスケールを超えた狂気”を見せてくれる。

 

●SCP-1283-JP「踏切のむこう」 Euclid

http://ja.scp-wiki.net/scp-1283-jp

 死別した親しい人と再会できる踏切。現れるのは生前の記憶を引き継いだ故人そのもので、しばらく経つと天使のような幼児たちのお迎えに囲まれ、遮断機が上がるとともに姿を消す。これで泣き系の邦画が1本作れそうな、なんともロマンチックな踏切なのだが、補遺の最後の一文が心肝寒からしむる。

 

●SCP-938-JP「からばこ」 Safe→Euclid

http://ja.scp-wiki.net/scp-938-jp

 3段階のパスワード入力を経てようやく読めるようになる報告書。このオブジェクト自体の収容手段も非常に厳重で、日本支部内でもトップクラスの予算と人員がかけられていることが伺える。果たして“収容”されているのはどちらなのか? 収容することで収容が不可能になる矛盾。アプローチはまったく異なるが、SCP-789-JP「メビウスの輪ゴム」の論理的恐怖に近いものも感じる。

 


【パルプで悪趣味な6本】

 読んでも「感動」は決して得られないだろうけど、奇妙なアイデアとちょっぴりの悪意が心地よい中~短編たち。

 

●SCP-823「恐怖のお祭り」 Euclid

http://ja.scp-wiki.net/scp-823

 グロテスクな殺人事件が度々起きる、廃墟となった遊園地。記事に挿入される廃遊園地の写真がまた不気味で、ホラー小説的なインスピレーションがはかどる。
 もともとSCPは「ネットで見た怖い画像にストーリーを付けちゃおうぜ」的な始まりをした(らしい)ので、このえげつない報告書もそうした経緯で書かれたのではなかろうか。そういう意味ではこれもまたSCPの原点かもしれない。

 

●SCP-089「トペテ」 Euclid

http://ja.scp-wiki.net/scp-089

 牛の頭と翼を持つ人型生物の姿をした、3メートルほどの土製の像。
 SCPは主観性を排した「報告書」のていで書かれているため、独自の用語が多く、文章も無機質でやや難解なものが多い。最初のほうは読んでも意味不明だが、後半まで読み進めてようやく正体がわかることがほとんど。最後まで読んで、前半に書かれていたことの詳細が判明してぞっとする…というパターンには美しさすら感じてしまう。このオブジェクトなど、報告書ならではの淡々とした描写が効果をあげている例の1つだと思う。元ネタはとある有名な悪魔と思われる。

 

●SCP-2126「おばあちゃんから来た手紙」 Safe

http://ja.scp-wiki.net/scp-2126

 何の変哲もないおばあちゃんからの手紙だが、これを読んでしまった者は…? 非常にえげつない「起きる異変」と「手紙の内容」との関連性が実に絶妙かつ微妙で、短いながらも印象深い1本。一体全体どうしてこうなってしまったのか。

 

●SCP-2030「ワ ラ ヒ ワ タ ノシヒ」 Keter

http://ja.scp-wiki.net/scp-2030

 悪夢のようにグロテスクな状況が次々と巻き起こる、ドッキリカメラ系コメディ番組。配信サイトやビデオ屋の陳列棚に突然現れるため完全収容は困難。SCP-993「ピエロのボブル」みたいな連中が作ってるのだろうか。

 

●SCP-1875「アンティーク・チェス・コンピュータ」 Euclid

http://ja.scp-wiki.net/scp-1875

 19世紀に作られた自動チェス打ちマシン。天才として名高かった、とあるチェス棋士の双子の娘の脳を使用している。また、チェスの駒は彼女らの人骨で作られている。なんらかの手段で無線LANに繋がっているのか、財団職員宛のメーリングリストに一斉メールを送信するなどの異常性を発揮。このメールに添付されていた画像ファイルは、見ただけで幻聴・幻視や自傷行為を引き起こす。

 

●SCP-1981「演説中に解剖されるロナルド・レーガン」 Safe

http://ja.scp-wiki.net/scp-1981

 タイトル通りの映像が収められたビデオテープ。再生するたびに、毎回異なるスピーチ(内容は完全に意味不明)をするレーガンが少しずつ解剖されていく。SCP-2491「毎日卵を300個産むショーン・コネリー」という、より悪趣味で意味のわからないオブジェクトも。

 


【スティーブン・キングな2本】

 パルプで、かつそこそこのボリュームがある2本。これ膨らませて1冊書けるんじゃね? ってくらいの秀逸なアイデア。

 

●SCP-3008「完全に普通の、ありきたりな古いイケア」 Euclid

http://ja.scp-wiki.net/scp-3008

 見た目は普通のイケア(家具量販店)なのだが、内部には少なくとも10平方kmの店舗が広がっている。出口はあるのだが位置が固定されていないため、一度中に入ると脱出は困難。イケア内部では迷い込んで出られなくなった人々があちこちに村を作って暮らしている様子。さらに「イケアの店員の制服を着た、人間ではない何か」の存在も多数確認されている。この店員モドキは夜(つまり閉店時間)になると店内の“客”を排除すべく凶暴化し、生存者たちを殺害して回る。日常×非日常の傑作。


●SCP-1357「子供のための遊園地」 Safe

http://ja.scp-wiki.net/scp-1357

 家族の元に送られてくる、Playlandチケット。招待された場所にあるのは小さな着ぐるみの従業員たち、不思議な超常的アトラクションなど、子供にとっては夢のような遊園地。財団エージェントのFredricksは、調査のために実娘を連れてSCP-1357へと向かうのだが…。SCP-823「恐怖のお祭り」とは別ベクトルの救いの無さが印象的な悪夢の遊園地。

 

【各支部の反則クラス3本】

 本部・日本支部以外から、メタに満ちた3本。

 

●SCP-779-KO「これは結果論的なオブジェクトです」 Unclassed

http://ja.scp-wiki.net/scp-779-ko

 韓国支部はSCP-380-KO「模擬試験を実施します。」SCP-287-KO「このSCP-287-KOを手に取る勝者は一体誰なのか?!」などインパクトの強いメタネタが多い印象。その中でも特に短い本作は、ディスカッション欄でも曝露している人が多数見受けられるほどの影響力を持つ。

 

●SCP-CN-994「みつけたよ」 Euclid

http://ja.scp-wiki.net/scp-cn-994

 中国支部のオブジェクト。報告書内にはとある秘密が隠されているが、パソコン環境でないと見落としてしまうかも? 1人でじっくり読んでください。

 

●SCP-210-FR「ウサギ」 Unclassed

http://ja.scp-wiki.net/scp-210-fr

 ウサギです。


 以上です。あと「面白そうなSCPの探しかた」を参考までに。


評価の高い記事を上から順番に読んでいく。
 面白いから評価が高い。そりゃそうだよな! 日本支部ではやはり日本支部のオブジェクトが上位に来ることが多いので、本部の高評価記事を見たい人は「評価の高い記事-EN」を参照しましょう。

 

・タグから探す。
 とにかくヤベーのが読みたいなら「keter」、ワンちゃんが好きなら「」など、タグから追っかけていくのも良いです。短編が読みたいなら、500単語以内という縛りで行われたコンテストの作品「sc2015」を。特定の要注意団体を追いかけたい時も便利。センスのイカれた異常オモチャをばらまく善意の狂人「ワンダーテインメント博士」、芸術テロリスト集団「Are We Cool Yet?」、インターネットを中心に政治ネタ・時事ネタの異常物品をばらまく「ゲーマーズ・アゲインスト・ウィード」などは比較的入りやすいんじゃないでしょうか。

 

アニヲタWiki(仮)を参照する。
 「SCP Foundation」タグで、いろいろなSCPオブジェクトや用語、人名、要注意団体などを解説している。思いっきりネタバレになっているものもあるが、「いったいこのSCPはどういう意味だったんだ」って時は理解の助けになるかもしれない。もちろん全オブジェクトは載っていないが、有名どころはけっこう押さえられている。

 

SCP財団

http://ja.scp-wiki.net/scp-series