ジャッカルの日

世田谷の河童料理専門店「ジャッカル」店主の日記ブログ。

帰ってきたガス博士/『ハウス・ジャック・ビルド』

 7月上旬は労働修羅場が続いたせいで死んでおり、日々の楽しみと言えば帰宅してフォーナインを飲むかちくわに釘を詰めるかしかなかったのだが、それ以外で言うならやっぱり『Fallout4』ですね。これがまた面白ぇんですよアナタ。以前Xbox oneで遊んだときのことを思い出して「あ~、ここの犬を追いかけるクエストやたら長かったよな~」とか懐かしく思ったり、ダウンロードコンテンツ版のクエストを新鮮な感じで楽しんだりしているので睡眠時間が一気に削られてしまいました。おかげで朝は寝坊がち、労働は修羅場となり、日々の楽しみと言えばフォーナインかちくわに釘を詰めるくらいしかなかったのだが(略)

 


 

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 それはそれとして『ハウス・ジャック・ビルド』を観てきた。サイコパス殺人鬼が語る5つのエピソードからなる連作で、スラッシャーものにしては2時間半と長丁場。個人的に作品自体はそこそこ面白かったのだが、劇場が寒すぎて眩暈と頭痛と吐き気と冷や汗に苛まされながら観ていたので最悪に近い映画体験だった。毎晩フォーナインを飲んだりはんぺんに釘を刺したりしているとこうなる。


 ジャックは建築士志望のさえない技師。ヒッチハイクで乗せた女(ユマ・サーマン)があまりにも失礼だったためついなぐり殺してしまう。死体はなぜか所有しているピザ冷凍倉庫に保存することにしたので安心だった(第1話)。何かがハジけたジャックは、以降も殺人を繰り返すようになるのだが、その手際の悪いこと悪いこと。身寄りのない老人に狙いを定め「警察です!家に入れてください!」などとのたまうが、元が神経質で潔癖症、挙動不審の陰キャなのでメチャクチャに怪しまれる。なんとか家に入り込んで老婆を絞殺、首尾よく逃げ出そうとするが「ひょっとしたら血痕が残っているのでは?」と気になってしまい、何度も現場に戻っては家の中をしらみつぶしにする悠長さ。スラッシャー映画でこんなドキドキハラハラはある意味新鮮であった(第2話)。
 殺人を繰り返すうちに一皮剥けたジャックは身なりも整ったイケメンへと生まれ変わる。母親と幼い兄弟の3人を猟体験ピクニックへと連れ出し、一家を獲物として撃ち殺す。全編通してサイコパス殺人鬼の美技を披露してくれるのはここくらいであり、こういうパートをもう少し見たかった(第3話)。
 こうしたジャックの語るエピソードの合間に、「聞き手」となる謎の人物との会話が挿入される。ジャックのわけのわからん独りよがりな論説に加え、「家を建てたいけどなかなかうまくいかないよ~」という泣き言が延々と続く。
 続いて「俺だって恋をした」と語り出すジャック。すでにジャックの凶行は殺人鬼「ミスター洗練」の仕業として世に知られていた。教養は無いが賢い女性と付き合っていたジャックだったが「ワシこそがミスター洗練じゃあぁ~~~!」とブチ撒けてしまったし、もういいやという気になったので殺した(第4話)。聞き手から「お前、さっきから女を殺した話しかしないのな」と言われたジャックは「男も殺しとるわい!」と、彼の最後となった殺人の話を語り始める(第5話)。

 全編を通して意味ありげな伏線やモチーフを散りばめているが、そんなもんはオマケに過ぎない映画である。なぜジャックは家に固執しているのかかとか、本作のタイトルの元ネタとなったマザーグースの『This is The House That Jack Built』という詩だとか、「聞き手」の正体はアレなんだヨとか、考察できそうな点はいろいろあるのだが、劇場が寒すぎてそんなもんを考えながら観ている余裕がなかった。だからこれは純粋に悪趣味を楽しむ映画! それ以上でもそれ以下でも無い、と思いまんた。正直な話、ジャックが最後に完成させた「家」については予想できる範囲であったし、殺人鬼の“匠”の技をもっと観たかった気はするが、それを差し引いてもヘンな映画を観たという満足感は十分でした。ただ劇場よりは、寒くなくて快適なおウチでの観賞をお勧めします。長いし。マジ寒かったし帰ってから寝込んだ。

夜霧よ、今夜も…/『八甲田山』

 ここ数カ月「なんだか寝つき悪いな~」って思ってたんだけど、最近はグッスリ泥のように眠ってます。『スーパーマリオメーカー2』が普通に面白くて時間泥棒なのと、『マリメ2』発売までのあいだ、ちょっと場つなぎのためにと『Fallout4:Game of the Year Edition』を始めてしまったから。どう考えても場つなぎにプレイするタイトルではなく、すさまじい選定ミスであったがそんなことは置いといて居留地を供給ラインで繋げるのた~のしい~。とかやってたら夜明け近くになるので眼精疲労を目の奥に感じつつ死んだように眠るのだが、これは寝つきが良くなったと言っていいのやら。ハマタはどう思う? と尋ねたら「ハマダや!」とキレのいい返答が返ってきましたよ。(鳩時計のハトに30分ごとに頷きながら)

 


 

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 午前10時の映画祭で『八甲田山』を観てきた。これまた未見だったのだが、有名な「天は我々を見放したッ……」のセリフや、劇中で兵隊さんがシベリアのアイデア料理みたいになってるシーンなどは「知っている」気がした。パロディとしても使われまくってるだろうからそれ経由だろうか。
 ご存知の方も多いだろうが、本作は新田次郎『八甲田山死の彷徨』を原作とした2時間49分の大作。高倉健に北大路欣也、三國連太郎に緒形拳に加山雄三に丹波哲郎と、まあ錚々たる役者陣が揃っている。時は明治、ロシアに攻め込むためには歩兵たちに雪中行軍の訓練をさせにゃならんべえと、弘前の徳島サンチーム(高倉健)、青森の神田サンチーム(北大路欣也)がそれぞれ八甲田山の踏破を目指す。徳島隊は少数精鋭で臨み、地元の猟師たちを案内人として雇ったおかげで全員、無事に雪中行軍を成功させたのに対し、神田隊のほうは200人以上の大所帯なうえに指揮系統を無視するクソ上司、ピクニック気分の部下などのろくでもない条件が重なりたった数キロの時点で遭難。猛吹雪に行く手を阻まれ完全に進退窮まり、坂を上ろうとして滑落する者、おしっこを漏らしてそのまま凍死する者、気が狂って全裸になる者、気が狂って川に飛び込む者、気が狂って木の枝に突撃を繰り返す者などが続出するのであった。
 「天は我々を…」のセリフは、それまで数々の困難(おもに上官のムチャ)にも耐えて気丈に指揮を続けていた神田大尉が、本当にもうどうにもこうにもならない絶望的な状況に陥って初めて、心の底から絞り出すようにして発した弱音である。ここに至るまでの彼の経ち振舞いや、部下からの厚い信頼ぶりなどを見てきた観客にとっても非常に重く刺さる一言であった。
 映画自体は前半の重厚っぷりに軽い眠気を覚えたものの(午前10時はおれにとっては早起きだし…)、中盤以降の地獄絵図は目が離せない。どうでもいいが、おれは本作の英題が「WHITE HELL」であることを聞いて「身も蓋もねえなあ」と思っていたのだが、実際に観賞してみるとこれほどまでに端的に内容を表している題もないなと考えを改めた。後にちゃんと調べてみたところ、本作にそんな英題はいっさい付いていなかったので、どこでそんなウソ知識を仕入れたのだろうかと自分に呆れたのだが。
 なんにせよ、見て損はないさすがの傑作でありました。ラストの日本むかし話みたいな怪奇現象も「それくらいのことは起きて不思議はないな」と思わせる、雪山の魔が存分に描かれている。

悪党仁義/『ヘルバスター』巻来功士

 ちくわに釘を詰める反社会勢力との闇営業(人狼やマジック・ザ・ギャザリングの対戦相手になる)が発覚、無期限謹慎処分を申し付けられたジャッカル佐崎さん。「上も了承していたはず」「ホワイトボードにもその旨書いていた」と反論するも「“終日MTG”って書いてたら普通はミーティングだと思う」との上司の説明に逆ギレ、ちくわに釘を詰めて投げる等で抵抗するも機動隊の一斉掃射でハチの巣にされた。

 

小枝を踏み折れば、骨を折ってあがないとする。
――ラノワールの侵入者への処罰

 


 

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 『ヘルバスター -地獄を狩る者-』読む。巻来先生の作品の中では『迷宮魔術団』と連載時期が近く、エログロ要素など共通点も多いが、「初期設定の救いの無さ」「エロ描写のえげつなさ」などもあって本作のほうが陰鬱でドロドロとしており、妖しい魅力を放っている。
 犯人に頭を撃たれて殉職した刑事・忌井霊市の元に死神が現れた。生き返った霊市は「怨霊が見える」「手から直接鎌が生える」という迷惑な力を授かり、自分を撃った犯人にレイプされ誘拐された妻を助けるためにグチャドロ伝奇バトルをおっ始めるのであった。ちなみにこの死神はプルートンであり、代々神社の家系であった霊市の一族の守護霊なのだという。ギリシャ神話の冥界の王が、日本の神社で守護霊をやってる意味はよくわからないが…。
 さっきも言った通り全体的に暗いうえにエロく、ラストの「死んだはずの人物が生きてた!」展開もまったく説明がなく打ち切り感は漂うが、話自体はわりと面白く読める。巻来先生はホント、『ゴッドサイダー』以外では優れたストーリーテラーである。

 ちなみに本作は懐かしの「MANGAオールマン」連載作品。確か「少年でも青年でもなく、すべての男たちに向けての漫画誌」みたいな意味でオールマンと名付けられた集英社の雑誌で、週刊ジャンプ連載経験のある作家がぞろぞろとオトナ向け漫画を描いていた。雑誌自体は正直あまりパッとしないまま7年間続いて休刊したが、未単行本化のものも含めて作品自体はけっこう注目すべき作品は多く、有志の研究が待たれる(というか待っている)。

とられたものはとりかえせ!!/神保町「エチオピア」

 完全版の発売も近いというのに、ようやく『ペルソナ5』をクリア。総プレイ時間70とちょっと。まさかラスボスを撃破したあとも、エンディングが45分くらい続くとは思っていなかった。大傑作であることに間違いは無く、生涯RPGベスト5には間違いなく入る。
 この『ペルソナ5』はプレステ4本体と同時に買ったので思い出深い1本だが、なんだかんだでクリアまでに3年近くかかったのは我ながらアレだと思う。確か結婚指輪を買った当日、「こんなデカい買い物したんだからついでにプレステも買うか~!」つって勢いでヨドバシカメラに寄って購入した記憶がある。普通に貯金が終わったので、高い買い物した勢いでプレステ4と『ペルソナ5』も買うのは悪手であることは書き残しておきます。
 RPGはやりたいがやる時間が取れない問題はわりと深刻で、最近も『ボーダーランズ ダブルデラックスコレクション』が100円だったからつい購入したけど絶対プレイする時間ねえよ。これはもう精神と時の部屋に入るしかないよな。精神と時の部屋はオンライン対応タイトルとは相性が悪いので、基本1人プレイのゲーム時に使うのがコツと言えよう。(以上)

 


 

 久々に神保町まで来たので、カレーの名店「エチオピア」に行ってきた。

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※本来なら『エチオピア』かカレーの画像を貼るべきですが、撮ってなかったので野沢温泉の道祖神をお楽しみ下さい

 

 チキンカレーの70倍とマンゴーラッシーを注文。70倍はここで注文できる最辛の数値だが、「100倍」と注文したら普通に100倍を出してくれるというウワサもある。
 はぁぁぁぁぁ~。うまい。70倍メッチャうまい。おれは別段、辛いものが得意でもなんでもないのだが、『エチオピア』の70倍はおいしく食べられるギリギリの辛さをキープしている。何より、食べた翌日も肛門が痛くならない。バカみたいに唐辛子をブッ込んだだけではない、肛門にやさしい激辛…最高ではないか。食べたあとは鼻水がドバドバ出るし、空咳がしばらく止まらなかったりするが、体調がメチャクチャ良くなった感覚がある。パール・ジャムの攻撃を受けた後みたいな雰囲気。大量のスパイスでガンガンに煮込まれた肉もめっちゃ柔らかいし…。ここのカレーが良すぎるせいで他のカレー店を開拓する気にあまりなれないんだよな。罪深いでぇ…。肛門に優しいうえに罪深いとかどんだけ…。

 辛いモンは辛いので、買い物済ませたのちに新宿伊勢丹の「とらや」で水ようかんを食しました。さすが「とらや」というか水ようかんが水っぽくないどころか濃厚モロッモロで、抹茶もうまみと苦みのマリアージュで水ようかんを引き立ててくれて、これもまたンまかったですね。

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※本来なら「とらや」か水ようかんの画像を貼るべきですが、撮ってなかったので野沢温泉の道祖神をお楽しみ下さい

恋はやさし野辺の花よ/『忍犬ずびまろ』山口譲司

 今日は新メニュー・なめくじ天丼のプレゼン。「小ぶりなバナナほどもあるなめくじを米粉でカリッと揚げまして、噛みしめると旨味がジュワッ! 外はアツアツ、身は半生でトロリ…。もっちりとした食感を存分にうぶろばぼはぁ」と顔中の穴からそうめん束のような住血線虫が吹き出し、ばたりと倒れて動かなくなった。

 


 

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 Kindle Unlimited『忍犬ずびまろ』読む。作者はチャンピオン時代の山口譲司(山口まさかず名義)。エッチで下品な忍犬・ずびまろが、忍クンと恵ちゃんの家族に居候することに。家で学校で大騒ぎを繰り広げるゾ! というよくある話なんだが、「適当さ」と「やり過ぎ感」が同居している。塩だけで味付けしたフルコース(デザート含む)みたいな強引さがある。

 全体的な特徴としては、キャラがとにかく安定しない。主役のずびまろですらコロコロ印象が変わる。連載を重ねるうちにキャラの顔が変わるのは普通だが、なんか本作の場合は根本的なブレを感じる。

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 恵ちゃんは1巻と3巻で完全に別人だし…。

 

 あとギャグが本当に下品で、たぶん『がきデカ』を意識してるんだろうが、「リコーダーを肛門に挿したまま脱糞して穴という穴からウンコがにゅるにゅる出てくる」みたいな一線超えた感のあるヤツが多い。

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※下品なので小さめに

 

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 忍が中学生になってからはラブコメ的展開を挟んだりもしてたけど、焼け石に水どころじゃないよ!
 あと中学編ではクソバカで下品なずびまろになぜか惚れてしまう女の子も出てきて、ギャグ漫画のお約束ではあるんだけど名前が「桜ノ園 満子」で、連載終盤ではマンコマンコと片仮名で連呼していたので普通に酷い。


 決して漫画史には残らないタイプの無茶苦茶さなんですが、女の子は可愛いです。そこだけが見どころ。

燃えろ!大勝負/『ガールズ&パンツァー 最終章』 第2話

 住民税の通知を見ると毎回卒倒しそうになるんですが、なぜなんでしょう。これってトリビアになりませんか? というわけで調査を開始したところ、いくつかの有益な情報が寄せられた。

 

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住民税の通知書にオドロキのメッセージを発見!!

神奈川県/スーパータイガークン

 

 社会人なら一度は見たことがある、住民税の通知書。じつは、この通知書が入っている封筒を日光に1時間さらすと、秘密のメッセージが浮かび上がってくるのダ。1時間も待てないという人は、通知書を水に浸けてから5分後に、Ⅱコンのマイクに向かって「マルカツ廃刊!」と叫んでみよう。すると、通知書の空欄に以下のような秘密のサブリミナル・メッセージが浮かび上がってくるのだ。「ワンワンツーツースリースリーフォーフォー、ガンガンズンズングイグイ上昇」「夢に描いたショータイム、デカイ理想は夢じゃない、スタート前の深呼吸、パイプショーでmaking making dream」…どうして税通知書にメロラップが!? 意味はよくわからないが、これも現政権の腐敗を如実に表しているのかもしれないゾ。

 


 

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 それはそれとして『ガールズ&パンツァー 最終章』 第2話、休日に行くと混みそうだったので平日朝に観た。よかった。おれはキャラ名と顔が一致しない程度のニワカだが、ハマり過ぎるとやばい域に行ってしまいそうな感覚あるから…。無意識にセーブしてるかもしれない。
 第1話と比べると戦車戦のパートがたっぷり充実しており、7.1ch構成の音響も臨場感最高、劇場を出る頃には耳が少し遠くなってるほど。「新キャラ加入→バトル→新キャラ加入」の繰り返しだけで成立しているストーリーが何故これだけ面白いのか…。「トーナメント表を見るだけでワクワクする」「トーナメントで一瞬だけ出てくるチョイ役のアクが強い」等のお約束、ツボの抑えっぷりがスゴいんですよ…。満点。

99年目の龍神祭/『迷宮魔術団』巻来功士

 めちゃくちゃキバらないといけない時期なのに、なんだか体調が微妙。去年から風邪らしい風邪は引いていなかったが、ここ最近の寒暖差がきつかったか…。それとも地蔵を蹴り続けた祟りか…。
 以前「風邪を引いたときは家系ラーメンと大量のビタミンCを摂取すると良い」というライフハックを実行して2日間鬼蹴りで過ごしたことがあったが、今はもう学習したのでセブンのとみ田監修豚ラーメンを朝食に、昼は野菜スムージーで済ますなどのパーフェクト食餌療法に加えて葛根湯を摂取、夜もちゃんと服を着て寝ることを実践したらだいぶ復調しました。よかったよかった。冷房で血行悪くなってるかもしれんし運動しよう! と勢いよく地蔵の頭に蹴りを叩き込んだ瞬間「ペギ」と一言発して石のように硬直し、その体勢のまま倒れて動かなくなった。

 


 

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 『迷宮魔術団』読了。非道な最期を迎えるも、悪魔との契約によって吸血鬼として蘇った月見一家。腐臭を放つ魂の持ち主を「迷宮魔術団」のショーへと誘い、いい人は助けるけど悪人は首を撥ねたり血を吸ったりして死なすのであった。
 吸血鬼一家が主人公の仕置き人モノ。一家の主人・月見信継はかつてオランダへ渡った武士だったが、妻(ヘラ)と娘(ミーナ)ともども魔女裁判で処刑されたという経歴の持ち主。巻来先生得意の歴史人物ネタ・神話ネタ・エログロは存分に盛り込まれている。腐れ外道犯罪者たちを処分していく前半、一家の宿敵・検事長バリアーニの刺客たちを迎えうつ中盤、「血の神」復活を阻止するため日本を発つ終盤と徐々にスケールアップしていく展開も盛り上がるが、基本的にゲストキャラを迎えての1話完結スタイルなので読みやすい。因縁の対決をしっかり決着させつつも一ひねり加えたラストも良く、個人的に巻来先生の著作の中ではもっともキレイに完結した作品だと思う。

アドベントマスター/『嗚呼!! 毘沙門高校』宮下あきら

 幕張メッセでポケモンの大会を見てきまんた。これは3DSのポケモンとポケモンカードゲームと『ポッ拳』(鉄拳チームが作った格ゲー)の日本チャンピオンを決め、ここで上位に入ると世界大会にイケるという公式なガチの大会。

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 この大会は2日続きで、予選は昨日の段階ですべて終わってるんですが、今日は会場で本戦が観戦できるのと、会場に来てる人と対戦するとポイントがもらえ、レアカードと交換できるイベントが行われてるので来たってワケ。ポケモン(『ウルトラサン・ウルトラムーン』)でもポケモンカードでも『ポッ拳』でも、どの対戦でもポイントはもらえるけど、規模的にはポケモンカードがメインな感じです。まあ他のゲームはオンラインで対戦できるし、わざわざ幕張くんだりまで来て対戦しようという人は少ないのかもしれない。
 今回はけっこう楽しく対戦できたけど、ジャッカル佐崎さんは基本的に知らない人と顔をつき合わせてカードゲームをやるのが大変ストレスになるタイプなので(冗談じゃなしに、実生活ではあり得ないレベルの確率で臭い人と性格悪い人と出会う)ポキモンカードも早く海外のようにオンラインゲーム化してほしいなあ。
 というか、トレーディングカードゲームは基本的にすべてデジタルに移行してもらって構わない。ルールの解釈ミスでトラブルになることもないし、メーカー側も中古ショップを通さず商売できるし、ダイレクトスメルアタックも回避できるし、いいことだらけだと思うんだけどな~。

 


 

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 Kindle Unlimitedで全巻読める宮下あきら作品は今のところ『私立極道高校2011』と『嗚呼!! 毘沙門高校』のみ。前者はどう見ても90%くらい『男塾』なんですが普通に楽しく読める。『毘沙門高校』は正直なところ存在を知らなかった。
 日本でいちばん貧乏なド田舎・毘沙門村の高校生達が、村の知名度アップをもくろむ村長たちの期待を背負いつついろいろなスポーツに挑戦するというお話。毘沙門村は地図にも載っていない山奥という設定だが、SLは走っていたりする。「ド田舎出身だけど超人的な身体能力を持つ主人公がさまざまな競技に挑戦」というあらすじだけだと『超人ヒイロ』っぽい内容だが、各スポーツの描写はわりとアッサリしており、主人公・修羅三四郎の怪力と男気だけで基本すべてが解決する。
 全3巻中のほぼ1巻を費やしている「野球部編」では三四郎たちが甲子園出場を目指す。基本的にメンバーが3人しかいないので残りの守備はすべてカカシに任せている。相手チームは主人公達3人を敬遠で塁に出させてメンバー不在での失格を狙うのだが、そこに今まで影も形も出ていなかった毘沙門村の助っ人、その名も「ドカベソ」がピンチヒッターとして現れたので事なきを得た。

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↑野球部編以降一切活躍しなかったドカベソ


 その後「柔道部編」「ゴルフ編」「マラソン編」「ボクシング編」が続き、ラスト「完結編」では税金をまったく払わない毘沙門村の連中に総理大臣が激怒。村に自衛隊を派遣するものの三四郎たちは軽くこれを撃退、戦車を強奪して国会議事堂に乗り込み毘沙門村の独立を認めさせるという、テーマの一切を放棄した〆を迎える。快作。

【レビュー】『モンスターズ 現代アメリカ傑作短編集』B・J・ホラーズ編

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 「モンスター」をテーマにした、海外で編まれたオリジナルアンソロジーの翻訳。帯裏に書かれた訳者あとがきには「受賞歴なし、無名の編纂者、小さな出版元、そして収録作家の半数以上が無名という、いわば『ないないづくし』の本である」とある。実際、執筆者一覧を見てもほとんど見覚えのない名前ばかりで、ネビュラ賞受賞者のケリー・リンクくらいしかわからなかった。

 表紙イラストや帯表の「怖いのに、なつかしい。」との文で察せられる通り、本書はバケモンどもが首や手足をポンポン引っこ抜いたりするような内容では無いので、そっち方面を期待してはいけない。吸血鬼、フランケンシュタインの怪物、ゾンビ、モスマンといった怪物たちも登場するが、大半は「人間」というモンスターを描いたものだ。とは言え「モンスターより怖いのは人間!」といった説教臭さは無く、身近な隣人として、友人・家族としてのモンスターを描こうといった意図が見て取れる。

 

■クリーチャー・フィーチャー(ジョン・マクナリー) ★★★
 ティミーはモンスター映画の大ファン。世の中をなんでもホラー映画チックに見てしまう彼に妹が産まれることになった。新しい命の誕生、淡い恋心を知り、少年は少し大人になる。本書のあらすじには「モンスター映画が大好きな少年の爆笑の日々を描く」などと書かれているが、大爆笑というよりは古き良き時代を描いたユーモア小説といった体裁。

■B・ホラー(ウェンデル・メイヨー) ★★★
 「怪物と襲われる美女」のコンビでパーティに出張する。B・ホラー・エンタープライズの2人組。その甲高い悲鳴を買われて美女役を任される「ぼく」と、雇い主のおっさん「B」の物語。本アンソロジーには怪物を着ぐるみで演じる話が3作もあるのでちょい埋もれ気味だが、細やかな心理描写が読ませる。

■ゴリラ・ガール(ボニー・ジョー・キャンベル) ★★★★★
 さて、ようやく“モンスター”が登場してくれた。常に怒りと破壊の感情を秘めたゴリラ・ガールの半生記。子供のころから男を殴り、テントウムシを食べ、親に噛みつき、自分にも噛みつくゴリラ的な凶暴さを秘めた少女。成長するにしたがい美しく、強く(性欲も)なった彼女が最終的に行きついた場所は? 筆致もパワフルでエネルギッシュな快作。

■いちばん大切な美徳(ケヴィン・ウィルソン) ★★★★
 自ら吸血鬼になることを選んだ娘に対する両親の心情が描かれる。心締め付けられる短篇。

■彼女が東京を救う(ブライアン・ボールディ) ★★
 戦うたびに親密になっていった、ゴジラ(女性)とキング・コング(男性)が別れ話をするというショートコント。なんなんだこれは。

■わたしたちのなかに (エイミー・ベンダー) ★★★★
 ゾンビにまつわるショートエピソード7編の連作。超自然とは関係ない最後の実話エピソードが実にやるせない話で、これが書きたかっただけちゃうんかという気もする。

■受け継がれたもの(ジェディディア・ベリー) ★★★★
 グレッグの家の地下室には、見たこともない「獣」が鎖でつながれていた。死んだ父親の形見でもある獣は意外に賢く、人にも懐いていたのだが…。エピソード自体は「飼い犬」でも同じ展開になりそうだが、得体のしれない獣の存在感が不安を煽る。

■瓶詰め仔猫(オースティン・バン) ★★★
 交通事故で顔に大怪我を負い「怪物」と化した少年。事故を起こした相手はすでに死んでいたが、少年はその妹を対象に行動を起こす。人はどこから怪物になるのか、それは誰のせいなのだろうかという重い問いかけ。

■モンスター(ケリー・リンク) ★★★★★
 キャンプにやってきた子供たちの間でささやかれる、モンスターの噂。大きな黒い翼で空を飛び、鋭い牙が生え、人に噛みつくという。キャンプに乗り気でないジェームズにとっては、
 モンスターよりもいじめっ子たちの方が大きな問題だった。そいつが本当に来るまでは…。悪ガキどものわくわく冒険アドベンチャーが、鮮血のラストシーンを迎える。

■泥人間(ベンジャミン・パーシー) ★★★
 几帳面な男、トーマスが庭仕事中にケガをして落とした爪から、泥人間(マッドマン)が生まれる。見た目に似合わず働き者の泥人間は、トーマスの妻や息子にも受け入れられ、家族の一員のように迎え入れられるのだが…。わかりやすくも皮肉なオチが決まっている1本。

■ダニエル(アリッサ・ナッティング) ★★★
 自分のことを吸血鬼だと思い込んでいる少年・ダニエル。牙をとがらせ、コウモリを飼いたがり、犬の血を吸い、鳥の生首にかぶりつき…と、奇行はどんどんエスカレートする。そんな彼を疎んじる母と、関心を持たない父。「いちばん大切な美徳」と同じく吸血鬼とその家族の物語だが、こちらで描かれる家族像は歪な形を取っている。

■ゾンビ日記(ジェイク・スウェアリンジェン) ★★★
 ゾンビ・アポカリプスに巻き込まれた派遣社員の手記。わずか6ページにゾンビ映画の典型的、かつ一捻り加えた展開が詰め込まれており意外な読み応え。

■フランケンシュタイン、ミイラに会う(マイク・シズニージュウスキー) ★★★

 古代エジプト研究者の彼女と、ヒモ同然の暮らしをしている主人公。彼女が勤める博物館の博士から「子供たちのレクリエーションのためにフランケンシュタインの怪物に扮装してくれ」と頼まれるのだが…。とことんダメ男な主人公が成長するちょっといい話…かと思いきや、ラストの破滅的なドタバタ。呆気にとられる怪作。

■森の中の女の子たち(ケイト・バーンハイマー) ★★
「ヘンゼルとグレーテル」を下敷きにした現代寓話。これはやはり絵本で読みたいお話かもしれない。

■わたしたちがいるべき場所(ローラ・ヴァーデンバーグ) ★★
 女優志望だがなかなか芽が出ず、ビッグフットの着ぐるみを来て客を驚かす「ビックフット・レクリエーション公園」でバイト中の主人公と、難病をかかえた恋人との切ない恋。美しい文章だとは思うが、ビッグフットの設定をうまく扱いきれておらず、別にモンスター関係ないじゃんという気がしないでもない。

■モスマン(ジェレミー・ティンダー) ★★★★
 本アンソロジー唯一のコミックで、短いながらも鮮烈なラスト1コマが印象的。。音楽好きのクリーチャー、モスマンがラジオを手に入れた。彼が愛したのハード・ロックは、いつしかラジオから流れなくなった…。

 

 以上、いずれもノスタルジックで精緻な心情描写が印象的な17編。アンソロジーにありがちな「作風がバラバラ過ぎて1作読み終えるのに時間がかかる」みたいなこともなく、すらすらと読める。ただ、個人的にはやはり暴力と血の臭いにまみれた「モンスター」「ゴリラ・ガール」の2編が飛びぬけて好み。ブラッドベリ的な郷愁のみに留まっておらず、「これがバケモンじゃい!」という気概が感じられる。「フランケンシュタイン、ミイラに会う」のデタラメなラスト、「泥人間」の奇妙な侵略者ぶりもなかなか忘れがたい。

 

宇宙飛行士の悪夢/『地球防衛軍4.1 THE SHADOW OF NEW DESPAIR』

 午前中からプレゼンと称してうさんくさい山師の一人語りを聞かされ疲弊、社長が「塩撒いとけ!」と憤っていたのでわざわざ経費で買ってきた。まあしかし、職場に塩を置いててもあんまり使い道ないな。砂糖ならコーヒー用に使えるが…。「塩 使い道」で検索してみると「塩を臭い靴に入れると消臭効果があります」などと出てきたので、足が爆裂に臭い同僚の靴(あちこちが蕩けており、靴と言うより汚泥に近い)で試してみたところギャッと小さな悲鳴があがり、しゅうしゅう白い煙を吹きながら“靴”が縮んでいくのを見たのです。思えば、あの頃から奴らは地球に潜んでいたに違いありません。(神田・立ち飲み居酒屋「ドラム缶」にて)


 

 数ヶ月前にPS Plusのフリープレイに入っていたのを落としたっきり放ったらかしにしていた『地球防衛軍4.1』をだらだらプレイしている。

 銃を撃ってでかい虫だのロボだのを倒すゲームです。なんも考えなくていいけどなんも考えなかったら死ぬ。

 『4』はXbox360でプレイ済みだし、ラストダンジョンに入ってしばらく放置してる『ペルソナ5』だの『悪魔のいけにえ』コラボが追加されてる『Dead by Daylight』だの、やるべきゲームはいっぱいあるはずなのだが、な~んか『地球防衛軍』やってしまう。今の労働が峠を越えたら腰を据えていろいろと…。